「おはよう、ちゃん。」
「はい、おはようございます、滝先輩!」
今日も1日頑張ろう!と自分に言い聞かせるように、私は元気よく挨拶を返した。
すると、他の先輩方もやってきて・・・。
「おはようさん、ちゃん。」
「おはようございます、忍足先輩!」
「ちゃん、おはよ〜!」
「芥川先輩?!今日は来てくださったんですね!おはようございます!」
参加率が高いとは言えない芥川先輩もいらっしゃり、いつも以上に嬉しそうに返事をした。・・・でも、今の言い方は良くなかったと思う・・・・・・。
「なんや。滅多に来ーへんジローの方がちゃんに喜ばれとるやん。羨ましいわ〜。・・・俺もちょっとサボってみよかな。」
「えへへ、E〜でしょ!」
「そ、そういう意味じゃないですよ!忍足先輩も芥川先輩も、毎朝来てください・・・!!」
「そうだよ。毎朝来る方が、ちゃんに会える時間も増えるじゃない。」
「それもそうやな。」
「そうだねー・・・じゃ、俺もこれから頑張ってみる〜。」
私が焦って言い訳すると、滝先輩がフォローをしてくださった。その理由はよくわかりませんが・・・とにかく、ありがとうございます!!
「はい、是非そうしてください!私も先輩方に会えるのを楽しみにしています。」
では、今日も張り切っていきましょー、と続けようとしたけど、ふと皆さんの視線が気になって、そこで止めてしまった。
・・・一体、どうされたんだろう?と思っていると。
「本当、ちゃんは笑顔が可愛E!」
「ジローの言う通りだね。」
「そやな。」
「えっ?!」
「もちろん、そうやって驚いたり、照れたりしているところも可愛いけれど・・・。やっぱり、笑っているときが1番いいと思うよ。」
「ちゃんの笑顔で、やる気も起きるしな。」
「そうそう!元気が湧いてくるC〜!」
「あ、ありがとうございます・・・。」
少し恥ずかしいけれど、お世辞でも皆さんに褒めていただいたのだからと、私はお礼を言った。・・・だけど、次の芥川先輩の言葉には、さすがにかなり照れてしまった。
「でもさ、日吉と居る時が1番E笑顔なんだよね!」
「そ、それは・・・き、気のせいじゃないですか・・・?!」
「日吉もそうなんだけどね。」
さらには、滝先輩までそんなことを・・・。
でも、今回は照れると言うより、苦笑いが先に出てしまった。だって、私はともかくとして、日吉はそんなはずないもん。
「そんなことないですよ。」
「いやいや、そんなことないことないで?」
「そうだよ。日吉なんて俺たち相手だと、ムスーッとした顔しかしないんだもん!」
芥川先輩にそう言われ、ふと思い返す・・・。確かに、日吉は私の前と先輩方の前とでは、結構態度が違うかも・・・。でも、それが私と同じ理由であるはずはなくて。だから、日吉のことを言われたときは苦笑いが出たんだ。
そんなことを考えていたら、また苦笑いをしながら答えてしまった。
「それは・・・私たちがクラスメイトだから、じゃないですかね?皆さんより、少しは一緒に居る時間が長いので、自然と笑顔も出るのかもしれません。あるいは、ただ長く一緒に居るから、笑顔になる確立も高くなるとか。」
そうやって、確率論的なことも述べると、今度は先輩方が苦笑いをされた。
「ん〜・・・、まぁ、ちゃんがそう言うんやったら、そういうことにしとこか。」
「そうだね。それは自分で決めることだから・・・。」
「うん・・・俺たちが勝手に言っちゃうのも良くないしね〜・・・。」
「どういう意味ですか・・・??」
「いや、何でもあらへんよ。」
「気にしないで?」
「さ、朝練頑張ろっか!」
芥川先輩の口からそんな言葉が出るなんて、やっぱり何かあるんじゃないですか?!なんて失礼なことを言うわけにもいかず・・・。私も大人しく頷くことにした。
でも、納得したわけじゃない。
「それで、どういう意味だったんですか?」
「え?・・・何の話や?」
「忍足先輩、とぼけないでください。」
「・・・おい、。そろそろ朝練始まるぞ。何やってんだ?」
まだまだ聞こうとしたところに日吉登場。
「そうだね。日吉の言う通りだ。早く始めよう。」
「よ〜し、今日も頑張るぞー!」
「あ、ちょっと!芥川先輩、滝先輩!!忍足先輩・・・もいつの間に・・・・・・。」
この機に、先輩方に逃げられてしまった。・・・やっぱり、何かあったんじゃないの?と疑いの目で、先輩方が去って行かれた方を見遣る。
そんな私の顔を見て、日吉は不思議そうに尋ねた。
「・・・どうかしたのか?」
「話の途中だったのに、逃げられたの!」
日吉に少し愚痴をこぼせば、日吉はいつも通りの仏頂面で答えた。
「どうせ、あの人たちの話なんて、大した内容じゃない。だから、気にするな。」
それを見て、私は先輩方の話を思い出した。そういえば、日吉は先輩方の前だと態度が違うって・・・。
たしかに、先輩方のこととなると、こういう表情が多いかもと思って、少し可笑しくなった。
「日吉って、先輩方のこと、どういう印象なの?」
「そういう印象だ。」
はっきり言い切る日吉に、また笑ってしまう。・・・やっぱり、私は日吉と居ると自然に笑顔になるんだよね。
でも、日吉はどうなんだろう。本当に先輩方の仰る通り・・・?と考えて、少し試したくなった。
「じゃあ、私はどういう印象?」
「の?」
「うん。だって、日吉って私の話は結構聞いてくれてる気がして・・・。だから、そういう印象じゃないのかな〜って思って。と言うか、そうだったらいいな〜と思って。」
「・・・・・・・・・そうだな。お前の話は、大抵がまともな内容だからな。」
「大抵?」
「あぁ。そうじゃない話も多々あるってことだ。」
「はいはい、そうですか!くだらない話ばかりで、すいませんねー!」
そうやって拗ねた風に返しながらも、本当はちっとも機嫌を損ねてなんかいなかった。むしろ、その逆で少し機嫌が良くなった。
だって、私の話はくだらないものも多いって言いながら、日吉は少し笑ってくれたんだもの。さっきの先輩方への態度から考えて、普通なら素っ気無くなるんじゃないの?でも、違う。私には、くだらない話でも付き合ってくれるんだ。
そう考えると、こっちだって、嫌でも嬉しくなってしまうじゃない。私とは同じ理由でなかったとしても、少しは特別なのかなって思えるから。
「いいから、さっさと練習始めるぞ。」
それに、そう言った日吉は、やっぱり少し笑顔に見えたから。本当に、私の前だと態度が違うみたいだと思えて、こっちも思い切り笑顔になって言った。
「わかってる。・・・さ、今日も頑張ろうね!」
相変わらずの先輩方、です(笑)。特に、この御三方がいろいろとちょっかいを出す気がします。でも、それだけ心配もしていると思いますよ。・・・たぶん(←)。
そして、日吉くんも相変わらず、です。日吉くんは、本当先輩方を先輩と思っているのか?という態度ですよね・・・(笑)。でも、そんなところも素敵です!
と言うか、本当は先輩のことも尊敬していると思います。それが素直に表現できないだけでしょう。・・・たぶん(←2度目/汗)。
('09/11/30)